求人サイトに掲載して2週間、応募はゼロ。掲載期間を延ばしても、有料のオプションを付けても反応がない。社長が「前はこれで来たのに」とつぶやきながら、前回と同じ原稿をもう一度出す。人手が足りない小さな会社ほど、この繰り返しに時間とお金を取られています。
この記事では、求人を出しても応募が来ないときに、媒体や予算を変える前に見直したい「求人原稿の書き方」を解説します。原稿は自社で今日から直せる部分であり、ここを変えずに掲載先だけを増やしても、同じ結果が繰り返されやすいからです。
応募が来ないのは「読まれた上で選ばれていない」から
応募が来ない理由は大きく2つに分かれます。一つはそもそも求人が見られていないこと、もう一つは見られているのに応募まで進んでいないことです。多くの求人サイトでは管理画面で表示回数や閲覧数を確認できます。閲覧はあるのに応募がないなら、問題は原稿の中身にあると考えてよいでしょう。
求職者は、同じ地域・同じ職種の求人を何件も並べて見比べています。その中で、仕事内容が「一般事務全般」「お客様対応など」と一行で済まされている原稿は、どんな一日になるのか想像できません。想像できない職場には、人は応募しにくいものです。
つまり、原稿を書き直すときの目的は「良く見せる」ことではなく、「働く姿を具体的に思い浮かべてもらう」ことです。そのための視点を3つ紹介します。
視点1: 仕事内容を「1日の流れ」で書く
最も効果が出やすいのが、仕事内容の書き方です。業務の名前を並べるのではなく、出社してから退社するまでの流れで書き直します。
- 書き直す前: 「受発注業務、電話対応、データ入力など」
- 書き直した後: 「9時に出社したら、まず前日に届いた注文メールを確認し、受注表に入力します。午前中は電話が数件。午後は出荷伝票の作成と、取引先への納期連絡が中心です」
あわせて、最初の1か月で何を覚えてもらうか、誰が教えるのかも書いておくと、未経験の人の不安が和らぎます。「最初の2週間は先輩の隣で電話の取り方から覚えます」の一文があるだけで、応募のハードルは下がります。
視点2: 「どんな人に来てほしいか」を言葉にする
「明るく元気な方」「やる気のある方歓迎」は、どの会社の原稿にも書かれているため、読み手の印象に残りません。代わりに、今いるスタッフの中で活躍している人の共通点を書き出してみてください。
- 「細かい数字の確認が苦にならない人が向いています」
- 「お客様と雑談するのが好きな人は、この仕事を楽しめると思います」
- 「逆に、毎日違う場所に出かけたい人には物足りないかもしれません」
最後の例のように、向いていない人も正直に書くと、応募の数は多少絞られても、面接後の辞退や早期離職が減りやすくなります。合わない人を面接してお互いに時間を使うより、ずっと効率的です。
なお、年齢や性別を条件にする書き方は法律で原則として制限されています。「若い方」「女性が活躍中」のような表現は避け、仕事内容と求める経験で書くようにしましょう。
視点3: 求職者が知りたい「条件の中身」を先回りして書く
給与や勤務時間は書いてあっても、求職者が本当に気にしている中身が抜けている原稿は少なくありません。次の項目を自社の原稿と照らし合わせてみてください。
- 残業の実態: 「残業あり」ではなく「月平均10時間程度、月末の数日に集中」のように実態を書く
- 休みの取りやすさ: 有給休暇を取るときの流れ、子どもの行事などで休む人がいるか
- 職場の人数と雰囲気: 何人の部署で、どんな年代の人がいるか
- 給与の決まり方: 「経験により優遇」だけでなく、どんな経験ならどの程度か
小さな会社は、給与の金額で大手に勝つのは難しくても、「実態をきちんと書いている」こと自体が信頼につながります。書けない項目があるなら、それは職場の側で見直すべき点が見つかったということでもあります。
原稿の書き直しはAIに「たたき台」を作らせると早い
ここまでの視点で一から書き直すのは、慣れていないと半日がかりの作業です。そこで役に立つのが、ChatGPTなどの生成AIです。ただし、「求人原稿を書いて」とだけ頼むと、どこにでもある無難な文章が返ってきます。自社の材料を渡して、整える役を任せるのがコツです。
たとえば、次のような材料をメモ書きのまま渡します。
- 今の求人原稿
- 担当者に聞いた「1日の流れ」(箇条書きでよい)
- 活躍しているスタッフの共通点、向いていない人の特徴
- 残業・休み・人数など、条件の実態
そのうえで「この材料をもとに、求職者が働く姿を想像できる求人原稿に書き直してください。事実にないことは書かないでください」と頼むと、たたき台が数分で手に入ります。指示の出し方はChatGPTプロンプトの書き方|そのまま使える業務別テンプレート5選も参考になります。また、応募者の情報など個人情報をAIに入力しないといった線引きは、生成AIの社内ルールの作り方で整理しておくと安心です。
AIが作った文章は、必ず社内の人が読んで事実と違うところを直してください。原稿の中身を決めるのは会社であり、AIはそれを読みやすく整える道具です。SNSで求人を告知する文章づくりにも同じ考え方が使えます(マーケティング担当のAI活用|SNS投稿・広告文・LP作成の時短術)。
まとめ: 今日やる最初の1ステップ
求人を出しても応募が来ないときは、媒体や予算を変える前に、原稿が「働く姿を想像できる内容になっているか」を見直すのが先です。
- 仕事内容を、業務の名前ではなく1日の流れで書く
- 活躍している人の共通点と、向いていない人を正直に書く
- 残業・休み・職場の人数など、条件の実態を先回りして書く
今日から手を動かせる最初の1ステップは、その職種で働いている社員に「昨日1日、何をしていたか」を10分だけ聞いてメモすることです。そのメモがそのまま、原稿の「仕事内容」欄の材料になります。メモが取れたら、今の原稿の仕事内容欄と見比べてみてください。足りないものが、はっきり見えるはずです。