シフト作成に毎週3時間かかる店舗が、30分に短縮するまでにやったこと

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ノウハウ

月末が近づくと、店長の閉店後の仕事が1つ増えます。スタッフから届いた休み希望を集めることです。LINEで来たもの、休憩中に口頭で聞いたもの、バックヤードのメモに書いてあったもの。それを1枚のExcelに打ち込み、「土曜の昼はこの人が入れないから、代わりに誰を」「この2人は同じ時間帯にしない方がいい」「新人だけの時間帯を作らない」と頭の中の条件を1つずつ確かめながら埋めていく。ようやく形になって送ったあとに「その日、やっぱり出られません」と1件返ってきて、また組み直し。気づけば毎週3時間近くがシフト作成に消えています。

この記事では、シフト作成に毎週3時間かかっている店舗が、30分まで縮めるために実際に辿る手順を順番に解説します。専用アプリの導入を最初に置かず、今日から着手できる順に並べています。飲食店・小売店・ジム・サロンなど、シフト制で店を回している方を想定しています。

時間がかかる原因は、店長の作業が遅いからではありません。シフトを組むために必要な材料が、毎回バラバラの場所にあることです。希望はLINEと口頭と紙に散らばり、「この時間帯には何人必要か」「誰が何をできるか」「誰と誰を組ませないか」といった条件は店長の頭の中にしかない。だから毎回、集めるところから考えるところまでを全部ゼロからやり直すことになり、1人の変更が全体の組み直しに波及します。

ステップ1: 希望の集め方を1つにする

最初にやるのは、シフト表の作り方を変えることではなく、材料の入ってくる口を1つにすることです。LINE・口頭・紙の3経路から来る限り、集めるだけで30分以上かかり、聞き漏らしも消えません。

決めることは3つだけです。

  1. 窓口を1つに決める: 「休み希望はこのフォームだけ」「このグループのこの形式だけ」と1本に絞る。口頭で言われたら「フォームに入れておいて」と返し、店長が代わりに打ち込まない
  2. 締切を決めて動かさない: 「毎月20日まで」のように締切を固定する。締切後の希望は次回に回す、と最初に全員へ伝える
  3. 形式を揃える: 「出られない日」だけを書くのか、「出られる日と時間帯」を書くのか、どちらかに統一する。混ざっていると読み替えの手間が毎回発生します

無料のフォームや共有の表で十分です。大事なのは道具ではなく、店長が集めて回るのをやめ、スタッフが決まった場所へ入れる形に変えることです。これだけで「集める」時間がほぼ消えます。

ステップ2: 頭の中の条件を全部書き出す

希望が1か所に集まったら、次はシフトを組むときに店長が無意識に使っている条件を、紙に落とします。これがいちばん効くステップです。条件が頭の中にある限り、組めるのは店長だけで、店長の疲れ具合で品質も変わります。

書き出すのは次の3種類です。

  • 必要人数表: 曜日×時間帯ごとに最低何人必要か。「土曜の昼は3人、平日の夜は2人」のように表にする。忙しい曜日のイベントや納品日も入れておく
  • スキル表: スタッフごとに「レジ」「発注」「締め作業」「新人指導」など、できることに印を付ける。「締め作業ができる人が1人は必ずいる」のような条件はこの表から自動で確かめられます
  • 組み合わせの条件: 「新人だけの時間帯を作らない」「この2人は別の時間帯に」「週の上限時間」「連勤の上限」など、言葉にしにくかったルールを1行ずつ書く

書き出してみると、条件は思ったより多く、そして思ったより単純です。「勘で組んでいる」と感じていたものの大半は、表に書けます。判断を個人の頭から出して紙に落とす考え方は、見積書の作成を速くする記事で単価と値引きについて書いたことと同じです。業務は違っても、時間がかかる仕組みは共通しています。

ステップ3: ゼロから組むのをやめ、「基本の型」に希望を当てる

条件が揃ったら、毎回白紙から埋めるのをやめます。やることは、希望が何もない状態で成り立つ「基本の型」を1枚作っておくことです。平日はこの並び、土日はこの並び、と必要人数とスキルの条件を満たす標準の配置を先に決めておきます。

実際の作成は、この型に今月の休み希望を当てて、ぶつかった箇所だけを直す作業になります。白紙から全部埋めるのと、型のうち数マスを入れ替えるのとでは、かかる時間も間違いの数もまったく違います。「やっぱり出られません」の連絡が来ても、型があれば直す範囲はその1マスと周辺だけで済み、全体の組み直しには広がりません。

型は月に1回だけ見直します。退職・入社・繁忙期の変化があれば型の方を直しておけば、翌月もまた「当てて直すだけ」に戻ります。

ステップ4: 道具に任せる部分を決める

ここまで来てはじめて、道具の話になります。順番を逆にして先にシフトアプリを入れると、希望の集め方も条件も整っていないため、アプリの中で同じ苦労を繰り返すことになります。

道具の選び方は、店舗の規模と条件の複雑さで変わります。

  • スタッフ10人前後・条件が単純: 共有の表と基本の型で十分回ります。無理に月額費用をかける必要はありません
  • 条件が多い・複数店舗がある: 市販のシフト管理サービスが向いています。希望収集から配置案の作成、確定後の共有までひととおり揃っており、月額費用が負担にならなければ早道です
  • 自店独自の条件が多く、市販サービスに合わせるための手作業が残る: ステップ2で書き出した条件をそのまま組み込んだ、自社専用のツールを作る選択肢があります。予約管理で同じ判断をした例はパーソナルジムの予約管理システムの導入事例で紹介しています

どの道具を選ぶ場合でも、ステップ1〜3で作った「窓口」「条件表」「基本の型」はそのまま持ち込めます。むしろこの3つが揃っていないと、どんな道具も本領を出せません。生成AIに配置案の下書きを頼む場合も同じで、条件表と型を渡せば実用的な下書きが返ってきますが、条件が頭の中にあるうちは頼みようがありません。月額サービスと自社専用ツールのどちらを選ぶかの考え方は、月額SaaSの見直し方の記事で整理しています。

まとめ: 今日から手を動かせる最初の1ステップ

シフト作成に毎週3時間かかる原因は、店長の作業の遅さではなく、材料が散らばり、条件が頭の中にあり、毎回白紙から組んでいることです。①希望の窓口を1つにする → ②条件を全部書き出す → ③基本の型に希望を当てる → ④最後に道具を選ぶ、の順で進めれば、作成にかかる時間は着実に縮み、店長以外でも組める状態に近づきます。順番を飛ばして道具から入ると、散らばりと属人化はそのまま残ります。

今日からできる最初の1ステップは、先週のシフト表を1枚手元に置いて、「なぜこの配置にしたか」を10個書き出すことです。「土曜の昼はこの人がいないと回らない」「この2人は同じ時間帯にしない」「新人は必ずベテランと組む」。10個出れば、それがステップ2の条件表の最初の10行になります。

書き出してみると、たいていは「これ、自分しか知らなかった」という条件が混ざっています。それが店長が休めない理由であり、シフト作成に時間がかかる理由です。条件が紙に出た瞬間から、他の人にも組めるようになります。

自店の場合にどこから手をつけるべきかは、スタッフの人数や条件の数によって変わります。個別の状況に合わせた整理は無料相談でお答えしています。

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